シアンは猛毒ですが、優れた化学的性質があるため広く使われています。その化学式は炭素と窒素の簡単な化合物であるため、たとえシアンを使わなくても製品の製造過程で生成される場合があります。
アクアテック創始者の大西はライフワークとしてシアンの無害化の研究とその処理技術の開発を行ってきました。
シアンはその存在形態、廃水量、濃度、共存物質などによって対応の仕方は様々です。
豊かな知識・経験・技術力・ノウハウによって、状況に応じた適切な処理法をご提案いたします。
廃水中のシアン対策ソリューション
廃水中のシアン処理方法には以下のようなものがあります。
- 酸化分解法(アルカリ塩素法・オゾン・電解法)
シアン廃水処理の殆どがアルカリ塩素法で行われております。pH10以上でORP計
の指示で次亜塩素酸ソーダを添加しシアンをシアン酸にし(1段目)次にpHを中性
付近でORP計の指示でシアン酸を窒素と炭酸ガスにまで分解し無害化します。原水
シアン濃度は数百mg/Lの廃水に向いています。金属と配位結合したシアノ錯体も
鉄、ニッケル,金,銀、コバルト 以外のものはこの方法で分解されます。アルカリ塩素法処理設備
- 不溶錯体法(紺青法・亜鉛白法・還元銅塩法)
鉄シアノ錯体([Fe(CN)6]4-)を含んだシアン廃水は1の方法では分解困難です。
そこで、Fe2[Fe(CN)6]が難溶性化合物を作ることを利用し、鉄イオンを添加
して難溶性化合物で沈殿させ、廃水中からシアンを取り除きます。
紺青法はシアン含有汚泥が生成されるなどの欠点はあるものの硫酸第一鉄が安価
なことや鉄シアノ錯体を除去できることなどの利点もあります。
最近、紺青(プルシアンブルーなど)は放射性セシウム(Cs)の固定化ができる
物質として注目されています。当社は原発事故直後の2011年4月26日に排水を含む
Cs吸着処理システムを発表しております。
シアンは容易に加水分解反応を起こし、一部アンモニアに変化するのでシアン
廃水はアンモニアを含みます。
亜鉛白法は添加する塩化亜鉛の価格が高いうえ、余剰の亜鉛がアンモニアと錯体
を作り従来法の水酸化物法では亜鉛を規制値の2mg/L以下にするのは困難です。
低濃度シアン廃水処理に適しています
製品:不溶錯体の実績は沢山ありますが製品としてはカスタム対応品といたします。紺青法処理設備 脱水ろ過機
(プレコートフィルタ−) - 熱水反応(熱加水分解法・湿式酸化法)
高濃度のシアン廃水(50,000mg/L〜2000mg/L)に向いています。シアン廃水をオートクレーブ内で高温(170〜260℃)で保持すると、例えば(1),(2)式のように加水分解反応が起り
アンモニアと蟻酸に分解します。共存する重金属類は主に単体(金、白金など)または酸化物(Fe3O4などになって析出します。一部の金属はアンモニア錯体として溶解します。 NaCN + 2H2O = HCOONa + NH3 (1)
Na4Fe(CN)6 + 2NaOH + 11・H2O + 1/6・O2 = 6NH3 + 6HCOONa +1/3・Fe3O4 (2)
この方式の利点
@この方式は水との反応のためシアン分解のための薬剤が要らない。
A沈殿生成物が少く貴金属などがシアンと共存する場合、貴金属が単体で回収できる。
B圧力容器内で反応を起こさせるため蒸発潜熱が少なく熱回収もできることなどから意外
に省エネルギーでランニングコストが安い。
Cアルカリ塩素法で分解できない鉄シアノ錯体が容易に分解できる。
D高濃度シアン廃水を効率的に処理できる。
E回分式も連続方式も可能。
欠点としては
@副生成物のアンモニアと有機汚濁物の蟻酸塩の処理が必要になる。
A設備費が高価。
製品:熱加水分解法は多くの実績があります。設備についてはカスタム対応と致します。
- 微生物処理
低濃度シアンの廃水に適応します。 - その他
シアンガス、シアン含有汚泥、(土壌汚染、地下水汚染)のシアン分析等でお困りの場合にはご相談ください。

東京めっき組合城南シアン廃液処理センター
シアンを用いた金回収技術(新しい青化精錬)
当社の保有技術
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金鉱山の金精錬は長年に亘って、シアンを用いて広く行われている。また電子産業での金めっきが
広く行われており、高濃度金含有シアン廃液も排出している。また金めっきされた電子部品などをシアンを用 いて溶解して金を回収しており都市鉱山としての金回収も盛んに行われている。
種々のシアン処理技術の中で熱加水分解法がシアンの無害化と金・銀回収に最も優れている。
当社保有技術が貴金属回収にどのように役立つかを説明する。シアン化ソーダを用いてミル化した金鉱石(下図 写真1,2)から金を溶出する場合も、金めっきされた部品(写真3) から金を溶出する場合も、(1)式の反応で個体の金がシアンに溶出する。同様に銀は(2)式の反応でシアン に溶解する。
ミル化された金鉱石 処理前 と 処理後
写真3 金メッキ部品
金銀シアン液の熱加水分解反応
シアンは水と反応し、アンモニアと蟻酸(塩)に変わり、金・銀は金属単体(Au0,Ag0)の紛体でコンパクトに析出する。 熱加水分解温度を変えると図1のようにベースメタルと貴金属が分離して析出するので、この性質を利用すると、図2の処理フローが考えられる。
図1


表1.実施例1 熱加水分解前後の分析値

表2.実施例2 東京めっき組合 12バッチの廃液処理結果

表3 東京めっき20から23バッチ目の回収スラッジ分析結果


写真4 使用済みパチンコ台 プリント基板
表4 使用済パチンンコ基板中に含まれる金属の価値

写真4で示す基板(3Kg/台)を炭化(2.1Kg/台)させ、王水に溶解,ICP発光分析器で分析
当社は現行の金鉱山精錬技術「メリルクロウ法」、「CIP法」
に替わる熱加水分解法を用いた金精錬技術を提案しております(特許出願済み」)。
金・銀・白金・パラジウムなどの貴金属含有シアン廃液処理のご相談は、当社がお引き受け致します。